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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)233号 判決 1972年11月30日

原告 亡森出彦治郎訴訟承継人

森田候二

右訴訟代理人弁護士 山中順蔵

右訴訟復代理人弁護士 山中仙蔵

被告 佐藤繁治

右訴訟代理人弁護士 田中成吾

主文

被告は原告に対し別紙物件目録(二)記載の建物(別紙図面(イ)の1および(イ)―2)を収去して別紙物件目録(一)記載の土地(別紙図面(イ)―1および(イ)―2)を明け渡し、かつ、金六万円ならびに昭和四四年五月一日から昭和四七年五月三一日まで月金四万二、七五六円の割合により、昭和四七年六月一日から右土地明渡に至るまで月金一〇万円の割合により各金員を支払うこと。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は、金員の支払を命ずる部分にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

(一)  主たる請求の趣旨

「被告は原告に対し、別紙物件目録(二)記載の建物(別紙図面(イ)―1および(イ)―2)を収去して、別紙物件目録(一)記載の土地(別紙図面(イ)―1および(イ)―2)を明け渡し、かつ昭和四四年四月一日からその明渡に至るまで月金一〇万円の割合による金員を支払うこと。

訴訟費用は被告の負担とする。」

旨の判決および第一項について仮執行の宣言。

(二)  予備的請求の趣旨

「1 被告は原告に対し別紙物件目録(五)記載の建物部分(別紙図面(イ)―2)を収去して、同建物の敷地部分(別紙図面(イ)―2)を明け渡し、かつ、昭和四四年四月一日からその明渡に至るまで月金一〇万円の割合による金員を支払うこと。

2 被告は、原告に対し昭和四八年一〇月二日かぎり別紙物件目録(六)記載の建物部分(別紙図面(イ)―1)を収去して、同建物の敷地部分(別紙図面(イ)―1)を明け渡し、かつ第一項記載の建物を収去して土地を明け渡した時から昭和四八年一〇月二日まで月金二万五〇〇〇円の割合による金員および昭和四八年一〇月三日から前記敷地部分の明渡に至るまで月金八万円の割合による金員を支払うこと。

3 訴訟費用は被告の負担とする。」

旨の判決および第一項について仮執行の宣言。

二  被告

「原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。」

旨の判決。

第二当事者の陳述した事実

一  請求の原因

(一)1  森田彦治郎(もと原告。以下亡彦治郎という)は、大阪市浪速区桜川一丁目一〇五九番の一〇、宅地一三五坪三合六勺(四四七、四七平方米)を所有しているところ、右土地について、昭和二三年一二月一〇日大阪復興特別都市計画事業にもとづいて、換地予定地指定通知を受け、仮換地として湊町工区七六の三大阪市浪速区西円手町一〇三一番地(別紙図面(イ)―1(イ)―2および(ロ)―2。以下「本件土地」という)を指定され、爾来、本件土地について使用収益権を取得した。

2  亡彦治郎は、昭和三四年一一月五日、被告に対し本件土地を、目的自動車置場、賃貸期間昭和四二年一一月五日まで賃料月五万円(当初月一万円のちに順時増額)毎月末日払い、保証金一〇〇万円(当初金三〇万円のうちに増額)特約本件賃貸借の目的達成の手段として風雨による自動車およびその積荷の損傷を防止するために必要かつ最小限度の建物を建築すること、ならびに火災・盗難防止のため管理人あるいは宿直員を置く設備を設けること(ただし、住居として使用してはならず、賃貸借終了の際には収去して、現状に復することを条件とする。)を認めるとの約により、賃貸した(以下「本件賃貸借」という)。

3  被告は、本件賃貸借により、本件土地上に別紙物件目録(四)記載の建物(別紙図面(イ)―1、(イ)―2および(ロ)―1)を所有している。

4  本件賃貸借は、昭和四二年一一月五日の経過とともに期間満了により終了した。

5  しかるに、被告は亡彦治郎に対し別紙物件目録(七)記載の建物敷地部分(別紙図面(ロ)―1)を返還したのみで、本件土地の残りの部分すなわち別紙物件目録(一)記載の土地(別紙図面(イ)―1および(イ)―2・以下、本件係争地域という。)上に別紙物件目録(二)記載の建物(別紙図面(イ)―1および(イ)―2)を所有してこれを占有している。

6  亡彦治郎は本訴訟係属後の昭和四五年二月一〇日死亡し、原告(森田候三)が相続により亡彦治郎の権利義務の一切を承継し、本訴訟を承継した。

7  よって、原告は被告に対し土地所有権にもとづいて別紙物件目録(二)記載の建物を収去して別紙物件目録(一)記載の土地の明渡(本件係争地域)と本件賃貸借の終了後である昭和四四年四月から、その明渡ずみに至るまで賃料相当額として月金一〇万円の割合による損害金の支払を求める。

(二)  予備的請求の原因

かりに主たる請求が昭和四三年一〇月三日成立した和解契約により認められないときには、予備的請求として、右和解契約の履行を求める。すなわち、

1 前記(一)4のとおり、本件賃貸借は昭和四二年一一月五日の経過とともに終了したのであるが、被告は原告に対し本件土地を明け渡さなかったため、亡彦治郎被告間で交渉した結果、昭和四三年一〇月三日、次のような和解が成立した。

(1) 亡彦治郎は、被告に対し本件土地上の車庫部分の明渡を昭和四四年三月末日まで猶予する。ただし、被告はできるだけ昭和四三年末までに右車庫部分を明け渡すように努力する。

(2) 亡彦治郎は、本件土地上の管理人宅部分(別紙図面(イ)の1部分)の明渡を昭和四三年一〇月三日から五年間猶予する。

(3) 被告は第(1)項の土地明渡まで地代相当の損害金として月六万円を毎月末日までに亡彦治郎方に持参して支払う。

右土地明渡後は地代相当の損害金として月二万五〇〇〇円を前記と同条件で支払う。

(4) 亡彦治郎は、従来被告の供託した地代を領収する。

(5) 第(1)項記載の土地明渡のあったさいに第(2)項記載の土地の明渡について起訴前の和解調書を作成する。

2 被告は、昭和四四年五月末日に1(1)項記載の車庫部分の西側半分を亡彦治郎に返還したのみで、残り東側半分について返還せず、右和解契約を履行しない。

3 よって亡彦治郎の権利を承継した原告は被告に対し、各和解契約にもとづいて車庫部分の東側半分の土地上にある別紙物件目録(五)記載の建物部分(別紙図面(イ)―2)を収去して、同建物敷地部分(別紙図面(イ)―2)の明渡を求めるとともに、別紙物件目録(六)記載の建物部分(別紙図面(イ)の1)については、前に和解(2)項記載のとおり将来の給付の訴として昭和四八年一〇月二日かぎりその建物部分を収去して同建物敷地部分(別紙図面(イ)の1)の明渡を求める。

そして原告は被告に対し昭和四四年四月一日から別紙物件目録(五)記載の建物部分の収去土地明渡(別紙図面(イ)の2)に至るまで賃料相当損害金として月額一〇万円の割合による金員を、別紙物件目録(五)記載の建物部分収去土地明渡後から昭和四八年一〇月二日まで賃料相当損害金として月金二万五、〇〇〇円の割合による金員を、昭和四八年一〇月三日以降別紙物件目録(六)記載の建物部分収去土地明渡に至るまで賃料相当損害金として月金八万円の割合による金員の支払を求める。

二  答弁および主張

(一)  請求原因事実(一)のうち、1は認める。2のうち亡彦治郎が昭和三四年一一月五日本件土地を被告に対し賃貸したことは認めるが、その余を否認する。3は認める。4は否認する。5および6は認める。7は争う。(二)の1は否認する。2のうち被告が原告主張の車庫部分の西側部分の返還を認め、その余を否認する。3は否認する。

(二)  本件賃貸借について、かりに原告主張のとおりの期間の合意があったとしても、本件賃貸借は建物の所有を目的とする。すなわち、自動車置場としての使用においては、自動車用の建物ならびに自動車および積荷の管理人の宿直用建物を必要とし、本件においてもかかる建物が建築されとくに宿直用建物においては三室もある。かかることにかんがみれば、本件賃貸借は建物の所有を目的とする土地の賃貸借であることは明らかである。

それゆえ、本件賃貸借には借地法の規定が適用されるから、たとい原告主張のような期間の約定があったとしても、借地法一一条の規定により無効であり、同法二条一項の規定により賃借期間は三〇年となり、結局本件賃貸借は少なくとも、昭和六四年一一月四日まで存続するものである。

第三証拠関係≪省略≫

理由

一  請求原因事実中、(一)の1の事実および亡彦治郎が昭和三四年一一月五日本件土地を被告に賃貸したこと、亡彦治郎は昭和四五年二月一日死亡し原告が相続により亡彦治郎の権利、義務の一切を承継し、本訴訟を承継したことは、当事者間に争いがない。

二  そこで、本件賃貸借の要件が原告主張のとおりであったか、とくに建物所有を目的とするものであるかどうかについて、検討を加える。

いずれも、≪証拠省略≫を綜合すると、次の諸事実を認めることができる。

(一)1  被告はかねて東北小型輸送部という名称で、自動車運送業を営んでいるものである。

2  森田稔は亡彦治郎の孫で原告の息子であり、佐藤文一郎は被告の息子であるが、両名は、幼馴染であった。

昭和三四年第三者から借用していた自動車置場から立退を要求されていたことから、被告は佐藤文一郎・森田稔を介し、亡彦治郎またはその息子である原告に対し、空地である本件土地を他に適当な土地を見付けるまでの自動車置場として借用したい旨を申し入れた。

3  亡彦治郎および原告は孫または息子の友人の窮境を察し本件土地を自動車用置場として使用することを了承し、結局昭和三四年一一月五日亡彦治郎から本件土地の管理を一任された原告(ただし原告名義以下同じ)と被告との間で、本件土地を賃料月一万円保証金一三〇万円、賃借期間三年とする賃貸借契約が結ばれたがその賃貸借契約書には使用目的は記載されていないが自動車置場として利用することは原、被告双方了承しているところであり、かつ右契約書六条には「乙(賃借人、被告のこと)は賃貸物を用(賃貸人原告のこと)の承諾なしに地上に建物又は建造物を建てる事が許されない。」旨記載されてはいたが、実際は原被告間においては、鉄筋等基礎固めをするものはいけないが簡易な自動車の車庫用のものおよび管理人用宿直室の建築物を建築することは了承されていた。

そこで、被告は本件土地を賃借後間もなく、約定に従い本件土地一杯に車庫用建物(この形状については後に認定する)を建てるとともに運転者等の保安要員を泊める管理人用室のある二階建バラックを建てた。

4  本件土地上に建てられた車庫用建物は木造のバラック作りであり、右車庫用建物の大半は角材や丸太を柱とし風雨を防ぐため建物の周囲を鉄板等を附着させて周壁としているにとどまり屋根として亜鉛葺をしている。そして、そのうちの一部(別紙図面(イ)の1の部分)を二階建てとし二階には管理人用室が三部屋設けられ、居住しうるようにし、しかも他の部分の屋上(別紙図面(イ)の2の一部)には物干台が設けられている(なお、この建物建築について亡彦治郎はこれを知悉しており、とくにこれに異議を申し立てたことはない)。

なお、このバラック建建物には、固定資産税が賦課されている。

5  亡彦治郎被告は昭和三六年四月賃料を月二万円に改めるとともに被告は同年五月原告に対し追加保証金として金二〇万円を預け、また当初の約定の三年の期間を過ぎた昭和三七年賃料を月三万円と改め、三年間期間を更新し、昭和四〇年一一月までとした。

6  その後昭和四〇年に入るや、亡彦治郎は本件土地を利用すべく被告に対し本件土地の返還請求がされたが被告も亦手頃な自動車置場が容易に見付けられないことからその申出を断わり亡彦治郎被告双方が協議したすえ、昭和四〇年二月八日、原被告間において、賃借期間をとくに二年間に限り昭和四二年一一月五日までさらに賃借させることとして、期間を更新することに合意した。

そのさい「第二条乙(賃借人被告のこと)は、本件土地を簡易なる建物にて自動車の置場として使用するものとし、其の他の建物を築造してはならない。第三条乙は自動車又は荷物管理の為管理人或は宿直員を置く設備をすることを妨げないが之等の者の家族等の住居に供してはならない」旨の約定が明確にされ、賃料月五万円とし、保証金も一〇〇万円(ただし、内三〇万円は、昭和三四年一一月六日、内二〇万円は昭和三六年五月五日に受領ずみで残五〇万円は、昭和四四年一月末日に受領した。)とする賃貸借契約を結んだ。

7  ところが、昭和四二年一一月五日を経過しても、被告は本件土地を明け渡さなかったから亡彦治郎、被告間で話し合いがもたれ、とくに、昭和四三年一〇月頃山中弁護士事務所での話し合いでは、昭和四四年三月末日までに本件土地の西側二棟の部分(別紙図面(イ)の2、(ロ)の1)を明け渡す。二階建部分(別紙図面(イ)の1)は昭和四八年一〇月三日まで明渡を猶予する。損害金として、西側二棟部分を明け渡すまで月六万円とし、二階建部分のみのときは月二万五〇〇〇円とするとの案が争点となり、原被告双方ともほぼ納得しかかったが、被告は右各土地の明渡についてはこれに努力すると述べたのみで、必ずしも、これを明け渡すとまで確約せず和解調書を作成するなどの話がでたため、話はもつれ、結局、和解としては、成立しなかった。

しかし、被告は、本件賃貸借の仲介に立った息子の佐藤文一郎からたって懇願され、やむを得ず、昭和四四年五月本件土地のうち、西側部分のみ(別紙図面(ロ)の1)を亡彦治郎に返還した。

8  なお、昭和四三年一〇月の原、被告間の話し合いで被告は本件土地の使用料について地代を月金六万円に増額することを了承し、昭和四三年一一月から同四四年三月まで月金六万円の割合で支払った。もっとも亡彦治郎は右金員は損害金の趣旨で受領していた。

以上の事実が認められ(る。)≪証拠判断省略≫

(二)1  右認定した事実によると、本件賃貸借の主たる目的は、本件土地を自動車用置場として使用するものであることは、明らかであるが、自動車用置場として使用することを主たる目的とすることと、建物所有を目的として使用することとは、必ずしも矛盾するものではない。すなわち、自動車用置場としての使用形態にも各種のものが存在し、たとえば、都会地内にしばしばみられる空地をそのまま駐車場として使用しているようなときとか、鉄骨にビニール製の風雨除けを設けたにすぎない簡易ガレージとともに出入口に監視用のボックスを置くにとどまるような形態もあれば、他方、立体駐車場としてかなり高層のビル建物を建築してこの中に自動車を収容する形態をとるものもある。前者のような形態をとるのは、主として空地をそのままの状態で、これを自動車用置場として使用することを主たる目的とするがたとい簡易ガレージやボックスがあっても不動産ではないから少なくとも建物所有を目的とするものとはいえないが後者は建物の自動車用置場に適する独自の設計構造を設備してこれを自動車用置場として利用することを目的とするから、建物所有を主たる目的とするものであるといえる。

2  これを本件についてみるに、本件土地上の工作物は、木造のバラック建であり、主としてその陸地をそのまま自動車用置場として利用するものであるが、同時に、トラック運送業者である被告のトラックの自動車用置場とする関係もあって本件土地上の工作物は不動産に属しいわゆる簡易ガレージとは異なり単に風雨を防ぐのみならず、同時にトラック積荷の盗難除けをも図るに足るものであって、とくに二階が設けられている部分には管理人用室が三室ありしかも物干台が設置されているというかなり高度の建築物が附置されているのでありかかる形態の自動車用置場は前述した両形態のいわば中間に位置するものということができる。このような形態は自動車用置場としては陸地をそのまま利用することが主たる目的であることは明らかでありただその自動車置場としての機能を果たすべくとくに陸上運送業の法の規制に従い附随施設として管理人用室三室そのための物干台など設けられているのであってかかる外形のみをみるときには一見建物所有を主たる目的とする土地賃貸借の利用形態のようにも見えるが、これも結局は、陸地をそのまま空地としてトラック置場をよりよく効率的に利用さすべき簡易な附随的施設たるにとどまるのでありかかる簡易な附属施設が多少設けられているからといって、本件土地の利用形態の本質が陸地をそのまま利用するものと異なるものということはできず、やはり、本件土地の賃貸借の主たる目的は建物所有を目的とするものと断定することはできないというべきでせいぜい、自動車用置場としての工作物の設置を目的とするににどまるものというべきである。したがって本件土地の賃貸借には、借地法の規定は適用されないというべきである。

3  そうだとすれと、亡彦治郎被告間の本件土地の賃貸借は(賃貸借の経緯に徴すると、一時使用のためにされたものではないかとの疑いがあるが、その点は免も角として)、昭和四二年一一月五日の期間の経過とともに、終了したものと認めるのが相当である。

三  そこで賃料相当損害金の請求について検討を加える。

昭和四三年一一月から同四四年四月頃までの本件土地の地代(被告からいわせると)または地代相当損害金(原告からいわせると)は月金六万円の約定であり、昭和四四年五月頃本件土地(二二七、六三平方米)のうち約三分の一にあたる西側部分(別紙図面(D)の六五、四二平方米の部分)を原告に返還したことは、前記認定のとおりであるから、特段の事情のないかぎり、地代相当損害金は右金額によって賃料相当損害額を算出すると、昭和四四年四月分としては金六万円であるが、昭和四四年五月分以降は計数上金四万二、七五六円(金六万円×一六二、二一÷二二七、六三円未満切捨以下同じ)となる。

ところで、≪証拠省略≫によれば本件係争地域については昭和四七年六月頃の適正賃料は月金一〇万円をこえることが認められるかいつから本件係争地域の適正賃料額が月金一〇万円をこえるべきかは、本件証拠によって必ずしも明確ではなく、また、金一〇万円をこえないにしても、昭和四四年五月分以降適正賃料額にあたるものが徐々に高額となってきたことは、容易に推測することができるが、その額および時期は確認しえないから、結局昭和四七年五月分までは、特別の事情が認められないものとして、前記約定賃料によって算出した金額月金四二、七五六円以上には請求することができないというべきである。

四  以上説述したところから明らかなように原告の本訴請求は、本件建物収去本件係争地域の明渡を求める部分ならびに昭和四四年四月分として月金六万円の割合により昭和四四年五月から昭和四七年五月まで月金四万二、七五六円の割合により、昭和四七年六月から本件係争地域の明渡に至るまで月金一〇万円の割合により各金員の支払を求める部分は正当としてこれを認容すべきであるが、これを超える部分は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用は民事訴訟法八九条九二条但書を適用し全部被告に負担させることとし、仮執行の宣言については同法一九六条を適用し金員支払を求める部分について付することとし(建物収去土地明渡請求部分は相当でないからこれを付しない)、主文のとおり判決する。

(裁判官 奈良次郎)

<以下省略>

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